サブタイトルの「全23種類に迫る探査釣行」に惹かれて購入した本。
アメリカ=ニジマスのイメージだったので、北米だけでそんなに種類いるの!?って。
トラウトの分類って自分の中であまり整理できてませんでした。
サクラマスがヤマメの降海型で同種なのは知ってるけどスティールヘッドとニジマスも同じなのか。
カットスロートってよく知らんけどニジマスとは別種なのか、などなど。
読んでみたところ、23種類とありますが、分類学的には4種と19亜種だそうです。
ちなみにブルックトラウトなどのイワナ属はここには含まれておらず、Charの仲間は明確に区別されていました。
Oncorhynchus、すなわちサケ属の魚のみ。
さらにそこからカラフトマスなどのいわゆるサーモン類も除かれてます。
昔、サケ科ニジマス属と呼ばれていた時代のトラウトがターゲットです。
この本を通じて学んだこと。
・カットスロートは独立した種でニジマスの亜種ではない。
・ヒラトラウトなる独立種が存在する。その亜種でアパッチトラウトというやつもいる。
・ゴールデントラウトについて。この本が書かれた当時はニジマスとは別種扱いだけど、現在は亜種とされている。なので、現時点での分類は3種20亜種になるのかな。
・スティールヘッドはニジマスの亜種。サクラマスとヤマメの関係とは異なる。
魚好きには堪らないマニアックさ。
でもそれだけに終わる本ではありません。
この本の出版社はヤマケイです。
当然のごとく、トレッキングが好きな人もかなり楽しめる内容になってます。
著者は野生鱒に逢うため、バックパックにフライロッドを積んで多種多様なフィールドに足を運んでいます。
大河もあればクリークもあり、氷河湖もあれば西部劇の景色そのもののような場所もある。
そんなアメリカの雄大で千差万別の自然の風景が、全ページフルカラーで楽しめます。
やっぱりイエローストーンの流れに立ちたいし、ハイ・シエラの夜を焚き火を囲んで過ごしながら昼は思う存分釣りをしたい。
そんなアウトドア好きには垂涎のシチュエーションが次々と出てくるので、特にコロナ禍の今は目の毒かもしれません。
ただ暗くならざるを得ない話題もやっぱりあります。
絶滅の危機にある鱒がいたり、外来種の闇放流というのは、どの場所でも共通する問題のようです。
この本の初版第一版が出たのが2000年。
おそらくこの目で拝める機会は無いと思いますが、それでも20世紀に記録された鱒達の子孫が、21世紀の現在までひっそりと生き残っていることを願います。