バーブレスが標準とならないのはなぜか

一般的なフライフィッシングの理念からすると、なんとなく違和感を覚えるのは、市販されているフックの多くがバーブ付きであるということ。

 

フライフィッシャーはキャッチ&リリース派が大多数のはず。

それならばフックにバーブは無い方が良いのでは?

 

バーブレスであれば、魚体にあまり触れずともリリースできます。

逆にバーブドフックが喉の奥深くに刺さった場合、かなりの確率でその魚は死んでしまうでしょう。

またバーブには付け餌を取れにくくする効果もありますが、フライではその必要もない。

 

ヘラブナやライギョなどは100%バーブレスです。

どちらもリリース前提の釣り。

それらと比べて、フライで未だにバーブレスが主流にならないのは何故なのか。

 

もっと種類が増えて欲しいと思っているティムコのSP-BLシリーズ。
ちなみに2021年のカタログを見たら、TMCフック49種のうちバーブレスは13種でした。

バーブレスのデメリットとして、第一に挙げられるのはバラしやすい、ということでしょう。

 

「いや、そんなことはない」という人もいるでしょうが、それは上手い人です。

やり取りの最中、テンションが抜けてしまうことの多い自分のような初心者、下手クソは、間違いなくバラす機会は増えます。

 

特に相手がヤマメの場合。

 

イワナやカマスなんかはバーブレスだからバレやすいって感じることはありません。

しかしヤマメは違う。

ローリングしたり、足元に突っ走ってきたりして、ラインが緩んでしまうことが多い。

フライフィッシャー誌で、渋谷直人さんもはっきりと意図を持ってバーブ付きを使っていると書いているくらいなんで、やはり釣果にある程度影響があるんでしょう。

 

日本の場合、フライのターゲットとして一番人気はヤマメ、アマゴだと思うので、バーブレスが主流とならないのもこの辺に理由があるのかもしれません。

 

ただ、バラしというのは、やり取りが上達し、愛用のタックルの特性を掴むうちにかなり改善できる部分です。

「バーブレスだからバレやすいなんてことは全然無いよ」って言えるレベルに早くなりたいものですね。

 

ユニークでカッコいいがまかつのフック。
高いので、気合を入れて一軍フライを巻くときにしか使えません。

そんな下手くそな僕ですが、ほとんどバーブレスを使ってます。

TMC212Yなど、バーブレスがないフックは別にして。

 

魚体保護の観点からでもあるんですが、第一の理由は自分と周囲の人の安全のため。

バーブ付きのフックが刺さった時は本当に大変です。

しかも、フライキャスティングはブンブンとフックを振り回すわけだから余計危ない。

渓流サイズの#16とかなら例え指に刺さっても引っこ抜けるかもしれませんが、ソルト用のサイズが刺さったら病院行き確定です。

 

服やバッグに刺さった時も同様。

バーブレスなら何の苦労もなく外せますが、バーブがあればそうはいきません。

この外しやすいという面だけ見ても、初心者ほどバーブレスを使うべきだと思います。

 

他にもバーブレスはメリットがあります。

フッキングは間違いなく良くなる。

8Xなんかの細いティペットを使った場合はアワセ切れも減るはず。

 

ソルト用や大型フックのバーブレスが充実している土肥富のフック、マルトー。
他社にはないラインナップで本当に助かってます。

 

ここでバーブレスのメリットとデメリットを整理してみましょう。

 

<メリット>

・リリースしやすく、魚体へのダメージを少なくすることができる

・サカナ以外のものに刺さってしまった時も外しやすい

・針掛かりが良く、アワセ切れが減る

 

<デメリット>

・バラしやすい ※魚種限定

・種類が少ない

 

こう見てみるとやはり圧倒的にメリットの方が多いような気がします。

バレやすいのだって腕が上がればかなり低減されるはずなので、むしろ楽しみの一つといってもいいくらいです。

 

メーカーさんには、ぜひバーブレスフックのラインアップを今以上に充実させて欲しいですね。