ハックルは高い。
我が家ではハックルはこっそりと隠すように収納してあります。
およそ一般ピープルは、この美しい鶏の羽が1万円もしようとは想像すらできないはずで、その価値を理解させることなどサクラマスをドライで釣るより困難なわけです。
もしも台紙の裏についた値札が見つかり、鶏の毛皮に大枚を叩いていること、さらにそれが1枚では決して収まるものではなく、どんどん増え続けるものであることがバレた日には、嫁に何と言われることか。
デスクに並べてウットリ眺めたいのは山々ですが、タイイングの時にさっと出してさっとしまう日々であります。
我が家の家庭事情はともかく、ハックルというのはカタギの人間にとって、おいそれと買えるものではありません。
特にフライフィッシングをはじめたばかりのタイイング初心者は、まずは1枚、それから必要に応じてまた1枚と、徐々に集めていく、いやそのようにしか集められないものだと思われます。
なので、まずはどんなカラーから買っていけばよいかまとめてみました。
基本4色
最初に揃えるべき色としてよく挙げられるのは下記の4色です。
- グリズリー
- ブラウン
- ブラック
- ライトジンジャー
とは言え、先に述べた通り4枚も一気に揃えるのは難しい。
なので、4色からさらにどれかを選ぶことになります。
個人的にはスバリ、「グリズリー」か「ブラウン」です。
すいません、ここでも1色には絞れていませんね。
しかし、この2色はどちらか1色とは言わず是が非でも揃えたほうがいいです。
というのも、この2色があれば「エルクヘアカディス」と「アダムス・パラシュート」が巻けるからです。
日本の渓流で釣り上がりをするなら、この二つで用が足りるとされるほどの定番フライ、それがエルクヘアカディスとアダムスパラシュート。
その二つについて、タイイングの教書を見ると、エルクヘアカディスについてはハックルのカラー指定は特にないことが多いのですが、アダムスはブラウンとグリズリーの2色を使う、となっているのです。
(オリジナルではレアカラーのクリーを使うらしいですが、手に入りにくいので代替案としてこの2色が使われます。)
グリズリーとブラウンはその2パターン以外にも使用頻度が高いので、買ったものの使わずに眠ったままになるケースは少ないと思います。
ケープ丸ごと2枚が無理なら、ケープを半分にカットしたハーフを1枚ずつという手もあるので、まずはこの2色から始めるのがオススメです。
もしタイイングをはじめるのが夏の近い時期ならば、グリズリーやブラウンではなく、ブラック一択です。
夏のフライパターンの中心はテレストリアル、陸生昆虫です。
特にアントパターンが必須となるので、蟻の色、すなわち黒が必要となるわけです。
エルクヘアカディスはブラックで巻くパターンもあるし、ビートル、甲虫に似たフライも巻けます。
なので、テレストリアルから始めるならハックル1枚からで済みますね。
基本4色に続くカラー
グリズリー、ブラウン、ブラック、ライトジンジャーが揃ったら、次に揃えるべきは下記のカラーです。
- ダン
- バジャー
- コーチマンブラウン
- ホワイト
ちなみに初心者の僕は、ダンはあまり使ったことがないし、コーチマンブラウンはつい最近購入しました。
バジャー、ホワイトは持っていません。
基本4色と比べるとやはり使用頻度は低いですね。
レアカラー
「レア」という言葉に弱いのは僕だけではないはず。
ハックルにもそんな人の弱みにつけこむようなカラーがあります。
なかなかショップにも入ってこないようで入手が難しく、オークションなどでも高値がつくことが多い、そんなカラーが下記の4種です。
- クリー
- スペックルドバジャー
- シャンパン
- ファーネス
言葉だけ聞いてもあまり色の想像はつきませんね。
僕もクリー以外実物を手にとって見たことがないので、各色の解説は控えます。
ただレアカラーのハックルを使って出来上がったフライは、画像からでさえもたまらない虫っぽさが滲み出ていて、いかにも釣れそうな感じを醸し出しています。
収集欲も刺激してくるので、精神的によくないカラーですね。
以上、ハックルのカラーを紹介してきましたが、数多あるハックルのうち、今回取り上げたのはほんの一部。
おまけに、同じカラーの名前がついていても、ヒーバートなどの天然色モノは微妙な色彩な違いで収集欲を刺激してきます。
そう、ハックルは単なるタイイングマテリアルではなく、コレクターアイテムでもあるのです。
終わることのないハックル収集は楽しくもあり、ツラくもありますが、これもフライフィッシングが僕を惹きつける魅力の一つになっています。